長年通った馴染みのお店。早く顔を出さなければと思いつつ、マゴマゴしていたのです。京都から遊びに来た有子さんとドライブ中、「前にご馳走になった天ぷら、また食べたいわぁ」とのことで電話。「あと20分で二人行きます~!」 彼女と一緒にのれんをくぐると、カウンター奥の定席がきちんと準備されていてぐぐっ。ご主人と板さんの笑顔と軽妙トークにまたぐぐっ。ごま油の香りの中、おなかぐーっの私たちはノンアルビールぐぐーっで気分上々!
はんなりした上京ことばをゆーっくり話す有子さんは京都の織物屋さん。「ネットというものからといあわせくれはったはじめてのお客さんやし。あのときうちの店はほんまにおおさわぎやったんよ」とか言うてはった(笑)。20年近く前、どこかで見た1枚の『渡来錦』に私は魅せられ、もっと見たいと織元を調べて夫と一緒に訪ねたのです。そこから盛り上がり、しまいには他産地の人たちも一緒に北海道や九州で販売会をしたりしたわけで。「ほんまにかわった夫婦やね。あのときはいっしょにあそんでもろてほんまにおもしろかったなぁ、あんなのまずないわ」(笑) ようするにアホなんです、ハイ。
そうしている間にカウンター皿に揚げたての車海老と鱚。「いらんことしてええ?」とそれを丁寧に皿に盛付け、二人の間にそっと置いて念をいれる有子さん。ぐぐーっ!この沁み込みハンパない。捌きたての穴子がバリバリに揚がったので、急いでかぶりついていた私、大変お恥ずかしい。^^;
人生の喜びって……きっとこんな優しさや真心がぐぐーっとこころに沁みる瞬間、そして美味しいものを好きな人と食べる時、なんでしょう。